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徒然覚書

学説の要約、個人的なメモなど。

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南洋との比較

日向神話(ニニギ~ウガヤフキアエズまでの日向に住んだ三大の皇室の祖先)
イザナギ・イザナミ神話に海との関連が見て取られる。


【海幸彦と山幸彦】
 パラオ・スラウェシのミナハッサ・ケイ諸島
 ⇒主人公が釣りの最中に魚に取られた針の返還を厳しく要求され
  仕方なく海底に赴き首尾よく針を奪還し命令した物に仕返しをする話系

【コノハナノサクヤヒメとイワナガヒメ】
 スウェラシのポソ地方のアルフール族
 ⇒岩を捨て植物を取った事により人間の寿命に限りが生まれた

【コノハナノサクヤヒメの出産】
 ⇒インドネシア~インドシナ半島で産婦の近くで火を燃やす「産婦焼き」
  『日本書紀』第3の1書、火中出産の最期に臍の緒を竹刀で切る


■最近までの通説
 南九州地方の原住民:隼人 ⇒ インドネシア系の種族ではないか
 ⇒日向神話は全体的に隼人の伝承を取り入れたものと仮定
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5つの複合文化

先史時代の日本列島には少なくとも5つの「種族文化複合」が渡来したと想定される。
岡正雄氏(民俗学者)

1:母系的・秘密結社的・芋栽培=狩猟民文化
 縄文中期はじめ頃日本に流入
 メラネシア原住民の文化と著しく一致
 (乳棒状石斧・棍棒用石環・石皿・土器形態と文様・土偶・土面・集団構造)
 男性秘密結社の祭り(ナマハゲ)・タロ芋の一種であるサトイモを祭事の折の食物にする

2:母系的・陸稲栽培=狩猟民文化
 縄文末期に日本に流入
 狩猟生活とともに山地丘陵の斜面の焼畑において陸稲を栽培した
 (太陽神アマテラスの崇拝・家族的・村落共同的シャーマニズム・司祭的女性支配者)

3:父系的・「ハラ」氏族的・畑作=狩猟民文化
 弥生初期に満州、朝鮮方面からツングース系統のある種族によって日本に流入
 粟や黍を焼畑で栽培しながらも狩猟も行った
 アルタイ語系の言語を最初に日本に持ち込んだのはこの種族
 (櫛目文土器・穀物の穂摘み用半月系石器)
 岡氏の見解
 日本語のウカラ、ヤカラ、ハラカラなど同属集団を意味する言葉ハラ=カラは
 ツングース諸語において外婚的父系同属集団を呼んだ語ハラ(Hala)に系統を引く。

4:男性的・年齢階梯制的・水稲栽培=漁撈民文化
 紀元前4.5世紀頃、揚子江の夏口地方よりも南の沿岸地域から
 呉・越両国滅亡に伴う民族移動の余波として日本に渡来したもの。
 弥生文化における南方的と言われる諸要素を日本列島にもたらした
 アウストロネシア系の種族文化。(水稲耕作・進んだ漁撈技術・板張り船)
 若者宿、娘宿、寝宿、産屋、月経小屋、喪屋など機能に応じて独立の小屋を
 建てる慣習も年齢階梯制(年齢や世代の区分で社会を階層づける社会組織)によるもの。

5:父権的・「ウジ」氏族的・支配者文化
 支配者王侯文化・国家的支配体制を持ち込んだ天皇氏族を中心とする部族の文化。
 (4)の文化と同系同質の種族が、西から来たアルタイ系騎馬遊牧民によって
 征服され国家に組織されることによって、満州南部に置いて成立したが
 1世紀前から南下し始め朝鮮半島南部に暫く留まり3~4世紀頃に日本列島に渡来。
 大家族・「ウジ」族・種族のタテの三段に構成される種族構造。
 「ウジ」父系的氏族、軍隊体制、王朝制、氏族長会議、奴隷制、氏族職階製、
 各種の職業集団、鍛冶職集団などを所有。
 氏族や種族を五つの部分に区画する「五組織」的な社会及び軍事の構造もこの文化。
 天神崇拝、父系的祖先崇拝、職業的シャーマニズムなどの宗教要素もこの文化。
 ユーラシア・ステップ地域の騎馬遊牧民の文化と本質的に完全一致する。



これらに部類される神話

母系的・陸稲栽培=狩猟民文化(先述2)
・オオゲツヒメ・ウケモチら豊穣を司る神の神話
・アマテラスの岩戸隠れの神話
・イザナギ・イザナミの国産み神話

父権的・「ウジ」氏族的・支配者文化(先述5)
・タカミムスビを主神格とする観念
・天孫降臨
・ヤタガラスや金鵄など鳥類の活躍する神武の建国神話



また、日本固有の信仰形態には二つの根底となる文化がある

★神の出現を垂直的に表現する信仰形態
神は天上にあり、山上・森・木梢を通し人間界に降下してくる
(父系的・「ハラ」氏族的・畑作=狩猟民文化(前述3)

★神の出現を水平的に表現する信仰形態
祖先、祖霊、死者、異形の人間、仮面仮装者と
信仰の対象は具体的であるが定型的ではないものが彼方から村を訪れてくる。
(母系的・秘密結社的・芋栽培=狩猟民文化(先述1)

地域的文化の流入

いつどのような文化によって運ばれ
いかなる経路でわが国にまで伝播したのか?


■ジョルジュ・デジュメル
フランスの言語学者・神話学者
印欧語族の古神話に共通する構造を明らかにした。


1960~現代までの研究
日本神話が印欧語族の古神話と細部まで一致した構造を持っている事が判明。
(ギリシア・ゲルマン・ケルト)

ユーラシアのステップ地帯のイラン系騎馬遊牧民 →
アルタイ系遊牧民 → 朝鮮半島 → 日本 と伝播


【日本神話の構成】
 起源が異なる要素が混ざり合い複合的に構成されている。
 ・印欧文化
 ・中国の揚子江以南からインドシナ・アッサムにかけての東南アジア地域
 (水田による稲作・焼畑による雑穀栽培。二種の農耕文化)


日本の文化形成は地形が重要な鍵

【北】千島、樺太、沿海州
 狩猟―北方ユーラシアの森林地帯と接続
 ⇒縄文文化(原始的狩猟・漁撈文化)

【西】本州、九州
 騎馬―旧満州、蒙古、カザフスタン、南ロシアにまたがるユーラシア・ステップ地帯
 ⇒古墳文化(馬匹飼育遊牧民文化)

【西南】朝鮮半島南部
 農耕―中国中南部、インドシナ、インド、東南アジアモンスーン地帯
 ⇒弥生文化(稲作文化)

【南】九州南端
 漁撈―台湾、フィリピン、インドネシア諸島からなるオセアニア地域
 ⇒縄文文化(漁撈文化)

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