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徒然覚書

学説の要約、個人的なメモなど。

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鶏の象徴するものとは

『光源が洞窟にこもってしまい、その扉を開けるために鶏を使った。』

日本、中国に共通して見れる鶏の役割である。
神話において鶏とはどういった鳥なのか。
これについて、谷川健一氏は「鶏型土器について」という論文の中で、項述べている。


◆日本書紀で見る一面。
アマテラスが天岩戸に閉じこもった時、思兼神は「常世の長鳴鳥」を集め互いに長鳴きをさせた。
この「常世」は「常夜」でもあり、その暗いというイメージから
「冥界」の類義語としての役割を果たしているという。
つまり、鶏は冥界の告知をする鳥であり、鶏を鳴かせたことにより

①神々の活躍する夜の時間が終わった。
②鶏を鳴かせ朝を招来する儀式が生まれた。

と主張している。


◆魏志倭人伝で見る一面。
『大鳥の羽を持って死を送る。その意は死者をして飛揚せしめんとす』という記述がある。
これは、人間の魂を運ぶのは鳥という考え方であり、世界各地の神話にその傾向は見て取れる。
それでは何故、中国・日本は鶏としたのであろうか。
それは鶏の特異性にある。鶏は他の鳥にはみられない「トキ」を作る習性がある。
(原文のまま「作る」と記載したが、おそらくトキとは明け方に発する泣き声のことであり、
トキを告げるというニュアンスが近いと推測する。)

また鶏は、暁を告げる前に死体のあり処を告げる鳥とされている。
そのため「常世の長鳴鳥」と称されるという記述もあり、昔の人々は暁闇の中でトキを告げる習性から
『太陽が再びかえり死者の魂が復活する事を告げる鳥』として認識を変えていったとされている。
谷川氏は鶏型土器の考察を交え最終的に、鶏とは

『死者の魂を運び、死体のおかれる場所を選定し、
人の罪や穢れを背負い贖罪の鳥として他界に追放される死の鳥』
『太陽の再生ならびに魂の復活を告知する生の鳥』

の、生と死の二面性を持つ鳥であるとしている。


この考え方は私自身も非常に納得できるものであり、
鶏が太陽の持つ「生と死の周期」を象徴させる存在であるという考えに落ち着いた。
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アステカの神話

メソアメリカでは最初に2つの種族の文化が栄えた。

◆オルメカ人
紀元前12世紀までに宇宙・神々・支配者のシンボルが
組み合わされた図を表す石碑や裁断を作った。

◆サポテカ人
最初に暦法と文字を使用した文化。彼らの間で崇拝された文化が
天体を中心としたものであった。


アステカ人は日食や月食、近世の軌道などを観測し、これらが宇宙の規則的な運動ではなく、
神々の営み・創世から始まる神話の世界の出来事の反復として捕らえていた。

マヤをはじめとするメソアメリカの人々は今現在の世界よりも前の世界の存在を信じており、
アステカ人によれば現在の世界は「五番目の太陽」と呼ばれる周期に入っている。
今までには「土の太陽」「風の太陽」「雨の太陽」「水の太陽」の世界があり、
それぞれがその属性に起因する理由で消滅している。(洪水が起きた、など)


【現在の世界】
テスカトリポカとケツァルコアトルが協力し、創造神から生まれた四人の息子が
また別の四神の力を駆りながら大地の中心に向かって4本の道を書き
大地が四つに割れた。そうして8柱の神々は崩れ落ちていた点を一斉に持ち上げた。

そうしてさらに天を支えるためにテスカトリポカが輝く鏡をつけた木に、
ケツァルコアトルがエメラルド色のケツァル鳥の羽をつけた木に変身した。
二人は功績を称えられ星の主となり、天の川は彼らが星空を渡るための道なのだという。

【第五の世界】
神々は太陽となる神を選出し、ナナワツィンとテクシステカトルの二人が
テオティワカンと呼ばれる土地で苦行を行ってから火の中に飛び込んだ。
(二人が苦行を行った「太陽のピラミッド」「月のピラミッド」が建てられている。
 このピラミッドは天然の洞窟の上に建てられており、大地から人が現れた
 天地創造の様子を表しているとも言われている。)

先に飛び込んだ勇敢なナナワツィンは勇敢な太陽神トナティウとなって生まれ変わり
東の空に上ったが、テクシステカトルも続いて月として上ってきた。
これでは世界は明るくなりすぎるとして、明け方の神がどちらかを打ち落とそうと矢を放つ。
しかしその矢は外れ、怒った太陽が矢を打ち返してきた為に
明け方の神は冷気の神にされてしまった。

続いて神々は、テクシステカトルのほうに兎を投げつけた。
すると傷ついた月の輝きは太陽よりも弱まり、満月の日には兎の影が現れるようになった。

こうして太陽は誕生したが、空中に留まったまま一向に動こうとしない。
そこで神々は自分の心臓をナイフでえぐり犠牲としてささげ、太陽を運行させた。
そのため、五番目の太陽が運行するには神々が自己犠牲を強いたように
人間も心臓と血を太陽に捧げなくてはならないとして、
古代アステカ人は生贄の儀式を行った。
これが今の五番目の太陽「動きの太陽」である。


【考察】昼と夜、神と人
メソアメリカの対の思想の中で最も基本的なものの一つが昼と夜の対比である。
夜明けの到来は神話の終わりであり、神々の時代の終焉によって人類の歴史が始まったとされている。

マヤ・キチェ族の『ポポル・ヴフ』という書物の中では、
初めて太陽が現れたとき、神々や獣は石に姿を変えられてしまい、
神々の時代が終わりを告げたとしている。

太陽が力を効かせている昼は安定と秩序をもたらし、夜は神々や魔物のさまよう時間となった。
日食は昼間にも関わらず太陽の光が遮られる為、星や夜の生き物の脅しとして恐れられた。

元の文章の中に明記されてはいないものの、
古事記や中国神話においても夜が神々の時間であった。
アステカにも鶏を使った生贄の儀式があるが、これは鶏信仰の表れというよりも
後に訪れた征服者が土着信仰を禁止した際、鶏で人の代理をさせたものと考えられている。
しかし、昔の人々が夜=暗い=冥界のイメージという認識を持っていたのは
世界的な共通認識である事に間違いは無さそうだ。


■参考文献
「マヤ・アステカの神話」カール・タウベ(1996)丸善ブックス

太陽神話のまとめ

一.太陽神話研究の歴史
 《二十世紀前半》
 天体神話学派が生まれた頃から研究対象として着目されはじめる。
 パウル・エーレンライヒ・ヴィンクラー
 「神話は天体運行をモデル化したもので、太陽神話を中核に置く」

 《十九世紀後半~二〇世紀前半》
 歴史民俗学派が新たな特徴を提唱
 フロベニウス・シュミットら
 「太陽・月神話は特定の諸文化において特徴的に発展している」


二.太陽神の役割の変遷
  ●原始の太陽神
    鷹・甲蟲・牛・馬等の動物・有翼の円盤のような象徴的な形
     → 守り神・その種族の特性を象徴する神
         ↓
  ●次第に擬人化が進む
    太陽を宮殿とする人・太陽を乗り物とする人
     → 天上の神々の支配者・地上の生物の育成者として祈願の対象となる
        ↓
  ●太陽神が創造神・宇宙の主を兼ね、絶対的神威が称えられるようになる
    M.エリアーデ
   「太陽神の崇拝はもともと天上の至上神からの転化であり、その多くが
    統治権との結びつきが顕著である。」  
     → エジプト・バビロン・インド・インカでは王は「日御子」と称される・
     → ポリネシア諸島(ソシエテ・ハーヴェイ・サモア・ニュージーランド)
       台湾・琉球・朝鮮の東南~東亜諸民族にも同様の傾向が見られる。


三.太陽崇拝を持つ地域
   J.G.フレーザー
   「太陽崇拝は高度な文明を持つ地域の民族にのみ見られる」

   しかし必ずしも太陽神話の有無はこのソートに当てはまるわけではない。
   ・アメリカ平原地方クロウ族 … 太陽神を最高神とする
   ・アメリカ東南部族ユチ族  … 太陽神を最高神とする
   ・太平原諸族ブラックフット … 夏至の太陽踊り等の祭祀儀式
   ・太平原諸族テトン・シウ族 … 夏至の太陽踊り等の祭祀儀式


四.神格と霊格の差異
  太陽神話と太陽崇拝は必ずしもイコールではない

  太陽を崇拝していない場合
  ・ 太陽射落とし神話 … 東南アジア・中国
  ・ 太陽盗み神話 ……… 東南アジア・アイヌ・北アメリカ・インディアン
  → 太陽に霊格が存在しているだけであり、崇拝されていない
  (光る生き物・光熱のある物と認識)

  太陽を崇拝している場合
  ・ 光熱を大地の豊穣の源泉とみる
  ・ 神徳性恩恵を祈願・祭祀
  → 太陽に神格が存在している → 宗教的慣行の発生


■参考文献
古代日本人の信仰と祭祀『日本古代の太陽信仰と大和国家』松前健

卒論の進め方

■昨年までの研究の反省
神話の要素に固執していた
太陽神について固執していた

■今年度からの方針
太陽神のみではなく日本神話の構造を通して天照を考察する


◆日本神話はどういうルートを辿ってきたのか
・類似した構造を持つ神話は何か
・発祥の地はどこか
・類似神話の中の太陽神の役割は

      ↓

◆日本神話独特の要素とは何か
・天照が何故皇祖に迎えられたか
・天照の象徴しているものは何か

 →日本人の太陽神観を考察する


以上、随時加筆(・ω・)ノ頑張りますぞ

ケルト神話

【創世神話】
存在しない。
宇宙のあり方・起源・原初の世界よりも国土の成り立ち・民族について人々は関心を寄せた。
ドンヌと呼ばれる世界から人々は来る。(ガイアのエレボスと似た考え)


【最高神】
太陽神とは別に

・ダグザ(全知全能の神)
・ファザ(ダーナ神族の王)
・ダヌ(生命の源の神)

がおり、太陽神がトップではない。
主神はダヌ(ブリギット)昼と光と生命の神々の代表。


【太陽神】
ダーナ神族 「ルーフ」
太陽・光の神。知能技能医術・魔術・発明など全てに秀でる。
天の川の事をルーフの鎖という。金髪美男であり、英雄神話の原型とされる。
魔眼バロールとの戦争に勝利する。
ローマ神話と後付され同一視されている

■参考文献
「ケルトの神話」井村君江(1983)筑摩書房

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http://twitter.com/spectacleP

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